アート・工芸作品はいつ、どこで、誰の手によって価値が生まれるのだろうか。世界中の長い歴史の中、ありとあらゆる人々のつながりによって、美の価値は育まれてきた。過去から現在における価値形成のプロセスとその課題を時間軸で整理し、未来においてB-OWNDが実現するデジタル作品証明書の世界観を表現した。ブロックチェーンネットワークで多様な人々を水平かつ半永久的に結び、「開かれた公正なマーケット」を構築していく。人類の果てしない想像力のために、新しい歴史の扉が開かれる。
長い歴史において、アートは閉ざされたサークルの中にあった。 特別な財と地位を持つ者が発注し、あるいは献上を受ける。もちろん大衆に公開することで意味を持つ作品もあったが、基本的にはクローズドな世界に置かれ、許された者だけがその姿に触れられた。作家の名前が正確に記録されているものは、むしろ稀だ。今日、人類の至宝となっている作品には、いかなるアーティストがその創造を担ったのかさえ不明なものが少なくない。
これまで、真贋の判断や作品価値を決定づけるのに重要な役割を果たす来歴は紙や木などフィジカルに記された数少ない情報で判断してきた。このため、今日においてもこの作品は本物かどうかという論争が起こり続けている。最終的にはその分野の専門家が最終判断を下さざるを得ない。また、多くの人々のつながりによって、作品の付加価値が加わり、取引が繰り返されたとしても、ほとんどの場合、アーティストに還元されることはなかったのだ。
B-OWNDは、これらさまざまな課題に対し、根本的な解決策を提示する。その解決策を担うもの。それは、ブロックチェーンによるデジタル作品証明書なのだ。誰が購入をし、どこで展示をしたのかなど作品にまつわる来歴の情報がブロックチェーン上に半永久的に記録されていく。自分の固有の美意識を信じて行動した記録が残り続けるのだ。それは、専門家による価値基準だけではなく、すべての人の美意識の集積が、新しい美の価値と信用を形成する世界を創り出す。
作品にまつわる来歴を正確に残すことができるデジタル作品証明書によって、全く新しいお金の流れが生まれる。アート作品は時に一次流通よりも二次流通の方が付加価値があがりやすい。これまで二次流通においてアーティストにお金が還元されることはほとんどなかった。しかし、B-OWNDが提供する仕組みによって、二次流通・三次流通など一度創り手から離れた作品の取引金額がアーティストに還元されるようになる。今後アーティストだけではなく、レビュアーなどにも還元される仕組みを構想していく。アートの価値形成に関わる多様な人々が恩恵を受けられるエコシステムが今ここに誕生する。