谷川美音
一瞬として止まることのない、万物の営み。
次の瞬間には消えていく「刹那」の時間を、いかに留めおくか。
あるいは「刹那」の中に、それまでの、そこからの、はるかな時間をどう封印するか。古今の芸術家は誰もが、そこに挑んできたといってもいい。
軽やかに走る「刹那」のドローイングの線。
これを、漆という長期性の象徴のような伝統素材と同居させたらどうなるか。
「大事なことは、なんでもシンプルだ」と彼女は言う。
だから、具体的に何かを描くよりも、心のままに色を走らせるドローイングになる。削ぎ落し、また削ぎ落し、〝今、生きている〟という思いを、筆に乗せる。
ドローイングの形は、たとえば自然の景色や庭の植物から着想する。
ドローイングの形に切り抜いた素材に、丹念に漆を塗っては研ぎ、また塗っては研ぐ。完成した作品は、あたかもすべてが漆で出来ているように見える。
一瞬の筆さばきのようなフォルムに、何層も重ねられた漆。
その直接は見えないけれども、たしかに留められた時間。
あるいは、そこに留められているのは、漆工芸というものが歩んできた長遠な歴史の時間でもある。
今という一瞬は、過去からの時間の積み重ねの結果であり、ここから始まる未来の出発。今の中に、過去も未来も包含される。
過去の意味を転換し、未来を動かしていく、その起点が「今」だ。だから、その今を観じとれる作品をつくりたい。谷川美音は自分の心を澄ませながら、漆を自在にし、そして時間を自由にする。
B-OWND
一瞬として止まることのない、万物の営み。
次の瞬間には消えていく「刹那」の時間を、いかに留めおくか。
あるいは「刹那」の中に、それまでの、そこからの、はるかな時間をどう封印するか。古今の芸術家は誰もが、そこに挑んできたといってもいい。
軽やかに走る「刹那」のドローイングの線。
これを、漆という長期性の象徴のような伝統素材と同居させたらどうなるか。
「大事なことは、なんでもシンプルだ」と彼女は言う。
だから、具体的に何かを描くよりも、心のままに色を走らせるドローイングになる。削ぎ落し、また削ぎ落し、〝今、生きている〟という思いを、筆に乗せる。
ドローイングの形は、たとえば自然の景色や庭の植物から着想する。
ドローイングの形に切り抜いた素材に、丹念に漆を塗っては研ぎ、また塗っては研ぐ。完成した作品は、あたかもすべてが漆で出来ているように見える。
一瞬の筆さばきのようなフォルムに、何層も重ねられた漆。
その直接は見えないけれども、たしかに留められた時間。
あるいは、そこに留められているのは、漆工芸というものが歩んできた長遠な歴史の時間でもある。
今という一瞬は、過去からの時間の積み重ねの結果であり、ここから始まる未来の出発。今の中に、過去も未来も包含される。
過去の意味を転換し、未来を動かしていく、その起点が「今」だ。だから、その今を観じとれる作品をつくりたい。谷川美音は自分の心を澄ませながら、漆を自在にし、そして時間を自由にする。
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