桝本佳子
桝本が、陶芸の世界に興味を持つ「きっかけ」となったのは、小学3年生のときにはじめた「茶道」だ。もともと絵やイラストを描くのも好きで、将来の道を考えたとき「何か作ることをしたい、自分の手で作るのなら陶芸がいい」との思いから、京都市立芸術大学の陶磁器専攻へと進学。
陶芸への入り口が「お茶の世界」であった、桝本。
そのせいもあり、大学に入学するまで、いわゆる「現代アート」には全く触れておらず、アートシーンへの興味も薄かった。
自分は何を作ればいいのか。迷走する日々の中、それでも多くの現代アート作品に触れていくことで、ずっと自分の中にあった固定概念や縛られていた部分が解放されていったという。
美術や工芸の愛好家はもちろん、一見それらと距離があるようにみえる人たちにも受け入れてもらいたい。より多くの人たちに親しみを持ってもらえる作品を作りたいと考える桝本が、もっとも大切にしているものの1つが「ユーモア」だ。
「ユーモア」を伝えるのに、「器」という形にこだわる必要があるのだろうか。
この答えを、桝本は「器形は工芸であるための装置といえるからであろう」と導き出した。器は多くの人にとって身近な存在であり、何かしら共通の記憶や体験がある。だからこそわかりやすい「記号」となるのだ。たとえば、これは「壷」だと、皆が共通して持つイメージがあるからこそ、そこから共感が広がっていく。そのため、技法においても、自分独自のやり方を追い求めるのではなく、古くからある伝統的なものを取り入れている。
しかしながら、桝本のつくる「器」の大きな特徴で、また自身が制作テーマとして掲げているように、桝本の作品は「用途を持たない、飾られるためだけに作られた器」である。彼女の生み出す皿や壷は、料理を盛り付けることも、花を生けることもなく、ただ飾られるだけの存在として、そこにあるのだ。
桝本の制作に大きな影響を与えた作品に、江戸時代初期の釜師である、大西浄清の作品「鶴ノ釜」がある。鶴が大きく釜に覆いかぶさるように作り込まれているこの作品を見たとき、桝本は「もう、これはほとんど鶴だと思った」という。本来、釜の装飾品としては付属品であるはずの「鶴」が、その関係性を壊し、一つの造形として自然にそこにある様に強く感銘を受けた、桝本。
器、そして装飾=モチーフとが、どちらが主とも従ともつかない融合をみせたとき、器とも彫刻ともつかない、工芸ともアートともいえない作品が生み出されるのであろう。見たことがないもの、思わず笑顔になってしまうもの。目にした人の気持ちが明るくなるような、さらには開放感を感じてもらえるような作品を作る。
それが、桝本佳子作品の大きな魅力であり、彼女らしい個性であろう。
B-OWND
桝本が、陶芸の世界に興味を持つ「きっかけ」となったのは、小学3年生のときにはじめた「茶道」だ。もともと絵やイラストを描くのも好きで、将来の道を考えたとき「何か作ることをしたい、自分の手で作るのなら陶芸がいい」との思いから、京都市立芸術大学の陶磁器専攻へと進学。
陶芸への入り口が「お茶の世界」であった、桝本。
そのせいもあり、大学に入学するまで、いわゆる「現代アート」には全く触れておらず、アートシーンへの興味も薄かった。
自分は何を作ればいいのか。迷走する日々の中、それでも多くの現代アート作品に触れていくことで、ずっと自分の中にあった固定概念や縛られていた部分が解放されていったという。
美術や工芸の愛好家はもちろん、一見それらと距離があるようにみえる人たちにも受け入れてもらいたい。より多くの人たちに親しみを持ってもらえる作品を作りたいと考える桝本が、もっとも大切にしているものの1つが「ユーモア」だ。
「ユーモア」を伝えるのに、「器」という形にこだわる必要があるのだろうか。
この答えを、桝本は「器形は工芸であるための装置といえるからであろう」と導き出した。器は多くの人にとって身近な存在であり、何かしら共通の記憶や体験がある。だからこそわかりやすい「記号」となるのだ。たとえば、これは「壷」だと、皆が共通して持つイメージがあるからこそ、そこから共感が広がっていく。そのため、技法においても、自分独自のやり方を追い求めるのではなく、古くからある伝統的なものを取り入れている。
しかしながら、桝本のつくる「器」の大きな特徴で、また自身が制作テーマとして掲げているように、桝本の作品は「用途を持たない、飾られるためだけに作られた器」である。彼女の生み出す皿や壷は、料理を盛り付けることも、花を生けることもなく、ただ飾られるだけの存在として、そこにあるのだ。
桝本の制作に大きな影響を与えた作品に、江戸時代初期の釜師である、大西浄清の作品「鶴ノ釜」がある。鶴が大きく釜に覆いかぶさるように作り込まれているこの作品を見たとき、桝本は「もう、これはほとんど鶴だと思った」という。本来、釜の装飾品としては付属品であるはずの「鶴」が、その関係性を壊し、一つの造形として自然にそこにある様に強く感銘を受けた、桝本。
器、そして装飾=モチーフとが、どちらが主とも従ともつかない融合をみせたとき、器とも彫刻ともつかない、工芸ともアートともいえない作品が生み出されるのであろう。見たことがないもの、思わず笑顔になってしまうもの。目にした人の気持ちが明るくなるような、さらには開放感を感じてもらえるような作品を作る。
それが、桝本佳子作品の大きな魅力であり、彼女らしい個性であろう。
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